東京都市大学付属小学校は、「高い学力」と「豊かな心」の育成を教育理念に掲げ、自主性と主体性を重んじる教育で知られています。合格を勝ち取るためには、学校の教育方針への深い理解に基づいた、周到な準備が不可欠です。本記事では、試験の概要から合格者の体験談まで、合格に近づくための情報を包括的に解説します。

 

試験の全体像:何が問われるのか?

同校の入学試験は、ペーパーテスト、個別テスト、行動観察、そして保護者面接の4つの柱で構成されています。それぞれで、子供の多面的な能力と家庭の教育方針が評価されます。

 

<ペーパーテスト>

 知識の量だけでなく、思考力、記憶力、指示理解力、そしてスピードが求められます。出題範囲は、数量、図形、言語、常識、推理など多岐にわたります。

 

<個別テスト> 

 巧緻性(手先の器用さ)や、先生との一対一での受け答えが見られます。具体的には、絵画や制作、口頭試問などが含まれます。

 

<行動観察>

グループでの活動を通して、協調性、社会性、リーダーシップ、そしてルールを守る姿勢などが評価されます。ゲームや共同制作といった課題が出されます。

 

<保護者面接>

学校の教育理念と家庭の教育方針の一致度が重視されます。志望理由や子供の長所・短所、家庭での過ごし方などについて質問されます。

 

合格への具体的な対策

 各試験項目で求められる能力を育むための、具体的な対策をご紹介します。

 

<ペーパーテスト対策>

 ペーパーテストは出題範囲が広く、迅速かつ正確な解答が求められるため、早期からの対策が鍵となります。

基礎学力の徹底

 特定の分野に偏らず、全ての領域で基礎を固めることが重要です。市販の問題集や幼児教室の教材を活用し、毎日少しずつでも学習する習慣をつけましょう。

スピードと正確性の向上

  ストップウォッチで時間を計りながら問題を解く練習を取り入れ、時間内に解き終える感覚を養います。間違えた問題は、なぜ間違えたのかを親子で一緒に確認し、理解を深めることが大切です。

「話の記憶」対策

 長いお話を聞いて質問に答える「話の記憶」は頻出です。日頃から絵本の読み聞かせの後に内容について質問したり、物語の要約をさせたりする練習が効果的です。

 

<個別テスト・行動観察対策>

 これらのテストでは、ペーパーテストでは測れない、子供の個性や社会性が評価されます。

指示を正しく聞く

 先生の指示を一度で正確に聞き取り、行動に移す練習が不可欠です。ご家庭での「お手伝い」を通して、指示を最後まで聞く、分からないことは質問するといった習慣を身につけさせましょう。

協調性を育む 

 公園遊びや習い事など、同年代の子供たちと関わる機会を多く作りましょう。その中で、おもちゃの貸し借りや、意見が対立した際の解決方法などを、親子で話し合いながら学ぶことが大切です。

自己表現力を養う

 絵画や制作では、自分の考えや感じたことをのびのびと表現することが求められます。日頃から「今日は何が楽しかった?」「この絵のどんなところが好き?」といった声かけで、子供が自分の言葉で表現する機会を増やしましょう。

 

<保護者面接対策>

 面接は、学校側が家庭の教育方針を知るための重要な機会です。

学校理解を深める

 学校説明会や公開行事には必ず参加し、教育理念や校風を肌で感じましょう。その上で、なぜこの学校でなければならないのか、ご家庭の教育方針とどう合致するのかを、具体的なエピソードを交えて話せるように準備しておきましょう。

夫婦で教育方針を共有する

 面接では、両親に同じ質問がされることもあります。日頃から子育てについて夫婦でよく話し合い、教育方針に一貫性を持たせておくことが重要です。

簡潔に、具体的に話す

 面接時間は限られています。質問に対しては、結論から先に述べ、具体的なエピソードを簡潔に話す練習をしておくと良いでしょう。

 

 

合格体験記から学ぶ成功の秘訣

 実際に合格を勝ち取ったご家庭の体験談には、多くのヒントが隠されています。

ある合格者の保護者は、「特別な対策というよりも、日々の生活の中で、子供自身が興味を持ったことを一緒に深掘りすることを大切にしました」と語ります。例えば、子供が図鑑で虫に興味を持てば、週末には一緒に昆虫採集に出かけ、観察日記をつけたそうです。このような実体験に基づいた学びが、ペーパーテストにおける常識問題や、行動観察での主体性につながったと言えるでしょう。

また、別の保護者は、「幼児教室には通っていましたが、あくまでもペースメーカーとして活用し、家庭での学習が中心でした」と話します。教室の宿題をこなすだけでなく、子供が苦手な分野は、市販の教材を追加したり、おもちゃを使って遊びながら学べるように工夫したりしたそうです。家庭が主体となった学習習慣の確立が、合格の鍵となったようです。

面接については、「父親の積極的な関与が評価されたように感じます」という声も聞かれます。平日は仕事で忙しくても、休日は子供と全力で向き合い、その様子を面接で具体的に話したことが、学校側の共感を呼んだのかもしれません。家庭全体で子育てに関わる姿勢を示すことが大切です。

東京都市大学付属小学校が求めるのは、知識が豊富な子供である以上に、学ぶことを楽しみ、友達と協力できる、心豊かな子供です。 日々の生活の中で、たくさんの体験をさせてあげ、親子の対話を大切にすることが、合格への一番の近道と言えるでしょう。

 

                         ジュニアクラブ恵比寿教室