
青山学院初等部、東京女学館小学校、学習院初等科は、いずれも東京都内に所在する長い歴史と独自の教育理念を持つ、小学校受験において非常に人気の高い名門私立小学校です。それぞれに校風や求める家庭像が異なり、合格を勝ち取るためには、各校の特徴を深く理解した上での綿密な準備が不可欠です。
ここでは、各校の合格体験記に共通して語られる重要なポイントをまとめ、これから受験を検討されるご家庭への道しるべとします。
合格者に共通するご家庭の取り組み
これらの難関校に合格するご家庭の体験記からは、以下のようないくつかの共通点が見受けられます。
- 家庭での生活習慣の徹底: 「早寝早起き、挨拶、返事、後片付け」といった基本的な生活習慣が、全ての土台となります。考査では、ペーパーテストだけでなく、行動観察や面接を通して、子供の自立心や社会性、家庭での躾が厳しく見られています。日々の生活の中で、自分のことは自分でする、使ったものは元に戻す、人の話を最後まで聞くといった習慣を根付かせることが重要です。
- 豊富な原体験: 机上の学習だけでなく、自然との触れ合い、季節の行事、博物館や美術館への訪問、様々なスポーツや芸術活動など、五感を刺激する多様な「原体験」を大切にしているご家庭が非常に多いのが特徴です。これらの体験は、子供の好奇心や探究心を育み、指示製作や絵画、面接での受け答えに深みと独創性を与えます。
- 親子の密なコミュニケーション: 日々の出来事について親子で対話する時間を大切にし、子供が自分の言葉で考えや気持ちを表現する練習を重ねています。「なぜそう思うの?」「どう感じた?」といった問いかけを通して、思考力や表現力を育むことが、面接や口頭試問での力に繋がります。
- 学校研究と理念への共感: 学校説明会や公開行事には必ず参加し、各校の教育理念、歴史、校風を深く理解することに努めています。そして、その学校のどのような点に共感し、家庭の教育方針とどのように合致しているのかを、両親が自分の言葉で明確に語れるように準備しています。これは願書作成や親子面接において極めて重要です。
各校の特色と対策のポイント
【青山学院初等部】
- 特色: キリスト教信仰に基づく教育を土台とし、「神さまからいただいた賜物を活かし、感謝の心をもって祈り、隣人に仕える人間」の育成を目指しています。自由でのびのびとした校風で知られ、子供一人ひとりの個性を尊重する教育が特徴です。
- 合格体験記に見るポイント:
- 「神を畏れ、知恵を愛し、人を愛し、自己を献げる」というスクールモットーへの深い理解が求められます。ご家庭がキリスト教にどのように向き合い、日々の生活で実践しているかが問われます。
- ペーパーテストは、思考力や発想力を問う良問が多く、単なる暗記では太刀打ちできません。お話の記憶、図形、推理・思考など、幅広い分野での高いレベルの対策が必要です。
- 行動観察では、自由遊びの中でのお友達との関わり方、協調性、リーダーシップなど、子供の素の姿が評価されます。指示を待つのではなく、自ら考えて行動できる力が求められます。
- 親子面接では、家庭の教育方針と学校の理念との一貫性が見られます。青山学院でなければならない理由を、具体的なエピソードを交えて語れることが重要です.
【東京女学館小学校】
- 特色: 「高い品性を備え、社会に貢献する女性の育成」を建学の精神とし、国際社会で活躍できる女性リーダーの育成を目指しています。躾教育に定評があり、凛とした品格のある児童を求めます。
- 合格体験記に見るポイント:
- 挨拶や立ち居振る舞い、言葉遣いなど、基本的な躾が徹底されていることが大前提です。待機中の姿勢や受け答えの一つひとつが評価の対象となります。
- ペーパーテストは、スピードと正確性が求められる問題が多い傾向にあります。日々の学習の積み重ねと、時間内に的確に解答する訓練が不可欠です。
- 行動観察・運動では、指示を正確に聞き取り、テキパキと行動する力が試されます。お友達と協力して課題に取り組む場面では、協調性や思いやりの心が見られます。
- 母子面接が特徴的で、母親の教育観や学校への理解度が深く問われます。父親はアンケート形式となるため、願書やアンケートで家庭の教育方針を明確に伝える必要があります。
【学習院初等科】
- 特色: 「ひろい視野」「たくましい創造力」「ゆたかな感受性」を教育目標に掲げる、歴史と伝統のある学校です。落ち着いた環境の中で、じっくりと物事に取り組む姿勢を大切にしています。
- 合格体験記に見るポイント:
- 家庭環境や家柄が重視されるというイメージがありますが、それ以上に子供本人の実力と、学習院の教育への深い理解が求められます。
- ペーパーテストは、特定の分野に偏らず、全ての領域からバランス良く出題されます。基礎的な学力を高いレベルで定着させておく必要があります。お話の記憶では、長文を正確に聞き取る集中力が問われます。
- 行動観察では、集団の中でルールを守り、協調性を持って行動できるかが重視されます。目立つことよりも、堅実さや真面目さが評価される傾向にあります。
- 親子面接では、子供への質問が多く、自分の言葉でハキハキと答えられるかが鍵となります。日常生活に関する質問などを通して、子供のありのままの姿を見ています。
最後に
これらの学校に合格するためには、幼児教室での専門的な指導に加え、何よりもご家庭での日々の生活や親子の関わりが大切になります。合格体験記は、具体的な対策方法を知る上で非常に有益ですが、そこに書かれていることをそのまま真似るのではなく、各ご家庭の方針と子供の個性に合わせて、最適な準備を進めていくことが合格への一番の近道と言えるでしょう。
ジュニアクラブ恵比寿教室